今回は、愛着障害と発達障害の関係についてお話をしたいと思います。
この記事で分かること
・愛着障害と発達障害の違い
・愛着障害と発達障害が同じものと勘違いされる理由
愛着障害と発達障害は同じもの?
結論から言うと、愛着障害と発達障害は違うものです。
ですが、この二つを混同してしまう人は少なくありません。
どうして愛着障害と発達障害が同じもののように誤解をされてしまうのか、解説していきますね。
愛着障害と発達障害が同じものと勘違いされる理由
どちらも人間関係でトラブルを起こしやすい
愛着障害が原因の人間関係のトラブルと、発達障害が原因の人間関係のトラブルでは、どうしてそんなトラブルが起こるのか、という背景は違うのですが、
正直なところ、それぞれの障害に対する知識のない一般の人からすると起こっている問題は同じに見えることがあります。
そこが、愛着障害=発達障害と誤解されてしまう所以です。
その人間関係のトラブルよく言われているのが
人の気持ちが分からない
というものです。
あの人は人の気持ちが分からないから発達障害なんじゃない?
あんなに酷いこと言えるのは愛着障害だからでしょ
というように言われてしまうケースをよく耳にするので、それぞれの背景を少しだけお話します。
愛着障害の場合
愛着障害には大きく分けて3つのタイプがあります。
不安型・回避型・恐れ回避型 (これに未解決型を入れて4つとする場合もあります)
タイプによって少し違いますが、例えば愛着障害の人は自分自身の不安を解消することが相手の気持ちよりも優先されることがあります。
例えば
「恋人に好かれているか不安」という不安を解消しようと必死になり、相手の好意を試そうとわざと相手に嫌がられることを言って反応を試す
ということもあります。
そういったことがはたから見ると「人の気持ちが分からない」と解釈されてしまうのです。
発達障害の場合
発達障害の場合は、生まれつき、相手の感情や場の雰囲気を読み取る能力に支障がある場合があります。
また、発達障害のタイプによっては衝動的に思ったことをパッと口にしてしまう傾向が強い人もいます。
そのため、悪気が無くても「つい、うっかり」相手の傷つくことを言ってしまい、周囲からみると「あの人は人の気持ちが分からない(気持ちが分かるならこんなこと言わないだろう)」となるのです。
このように、一括りに「人の気持ちが分からない」と評価されてしまっても、愛着障害と発達障害が別物である以上、背景も違うのだというのが分かってもらえると幸いです。
また、この背景の違いで愛着障害を発達障害を見分ける、という考え方もできます。
原因に対する誤解がある
愛着障害と発達障害は原因にも違いがありますが、原因も誤解によって混同されていることがあります。
愛着障害の原因は一般的には幼少期の愛着関係にあると言われています。
ざっくりいうと、親から適切に愛されて育てられたかどうかです。
(すごくざっくり説明したので語弊があるかもしれません。愛着障害についての詳細は別記事にて)
そして、発達障害の原因は脳機能です。
なのですが、この発達障害に対する古い誤解として、「発達障害は親の育て方のせい」というものがあるのです。
親から十分に愛情をもらえなかった、親にきちんとしつけをされなかった、だから発達障害になったのだ、というトンデモな誤解です。
ごくまれに未だにそんなことを真顔で言う教職員が要るから引く。
この誤解から、家族関係が原因なのだから愛着障害も発達障害も同じものを指している、という誤解が生じることがあるのです。
愛着障害と発達障害のどちらも持っている人がいる
これまた難儀な話ですが、愛着障害と発達障害のどちらもも持っている人もいます。
そのため、「これは発達障害の特徴」「これは愛着障害の特徴」と区別するのが難しいわけです。
また、発達障害をもって生まれ、その特徴から幼いころに親との適切な愛情のこもった関係を築くことが難しくなり、その結果として愛着障害も抱えることとなった、という方は少なくありません。
それは、親が悪い・発達障害が悪い、ということでは全くなく、発達障害の有無にかかわらず親が安心・安定した気持ちで子育てをしていくために必要な、周囲・社会のサポートが不十分であることに他ならないと、私は思っています。
まとめ
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
愛着障害と発達障害が全くの別のものであること、
別のものでありながら全く無関係ではない場合もあることが分かっていただけたら幸いです。